JSファンダリの酒井明彦社長
鳴り物入りの「JSファンダリ」
3年で破綻!

2025年8月22日

 パワー半導体受託生産のJSファンダリは、東京地方裁判所に破産を申請し、手続き開始決定を受けた。負債総額は約161億円。唯一の生産拠点だった新潟工場の従業員約500人は解雇された。日本政策投資銀行(DBJ)系の投資ファンド等が出資し、国内で初めて特定のメーカーに属さない受託製造企業(ファウンドリー)として設立された同社。地方の古い半導体工場を再生させるモデルとしても注目され、新潟県も設立時に3億円超を支援する等したが、わずか3年で破綻に至った。
 同県小千谷市にある新潟工場は1984年に旧東京三洋電機の大規模集積回路(LSI)の生産拠点「新潟三洋電子」として設立された。2011年に米半導体大手オン・セミコンダクターが買収し、22年にJSファンダリが取得した。国内初のビジネスモデルとして鳴り物入りで始まったが、売上の大半を占めていたオン・セミコンダクターからの受注が24年に途切れると、売上が激減。中国メーカーの台頭でパワー半導体の価格も下落し、経営不振に陥った。最近の工場の稼働率は50%を割っていたといい、中国や台湾メーカーにも秋波を送ったが、実らなかった。破産申請の当日、酒井明彦社長が従業員を集め、破綻に至る経緯や解雇の方針を説明したという。すでに給与が未払いだったこともあり、従業員は特に声を荒げるようなこともなく、諦めの表情だったという。工場には三洋時代から働いていた従業員もいる。解雇された人達の受け皿として手を挙げた企業はあるが、地域経済への影響は甚大だ。こんな半導体工場は全国各地にあり、国の積極的な関与が求められている。

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