公明党代表の斉藤鉄夫氏
公明党と国民民主党のタッグに亀井静香
2025年5月22日

 公明党の斉藤鉄夫代表は4月、訪問先の中国・北京で「多数派が内閣を形成するのは非常に重要だとこの半年間、実感した」と同行記者団に語った。夏の参院選で与党が勝ったとしても、衆院で過半数割れの状況は変わらない。連立の枠組みを広げて政策決定のスピードを上げない限り、政権が行き詰まるリスクは解消されないという危機感の表れだ。斉藤氏の発言には布石があった。公明党は3月下旬、企業・団体献金の規制を強化する改革案を野党の国民民主党と共同で発表。規制に及び腰の自民党に歩み寄りを促した。立憲民主党等が原則禁止を訴える中、公明党・国民民主党のタッグは永田町を驚かせた。ある閣僚経験者は「斉藤氏と同郷の亀井静香・元自民党政調会長が、国民民主党の玉木雄一郎代表を抱き込むようアドバイスした」と明かす。国民民主党が連立に加われば三党で衆院の過半数になり、政権は安定する。野党を分断することもでき、自公両党にとっては一石二鳥だ。自民党の岸田文雄前首相は5月上旬、「いろいろな世論を聞く限り、玉木さんは総理候補の一人だろう」とリップサービスした。ただ、『毎日新聞』の4月の世論調査によると、公明党支持層では、今後の望ましい連立政権のあり方について「現在の枠組みを維持」が5割弱で最多だった。連立拡大によって政権内で同党の存在感が薄れる恐れはあり、斉藤氏も簡単には決断できない。まだ観測気球を上げている段階だ。与党は景気対策として秋に今年度補正予算案を編成し、秋の臨時国会で成立を目指す。政権安定を狙った虚々実々の駆け引きは、6月22日の今国会会期末に向けてますます活発化しそうだ。

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