3月末で日産自動車の社長を退任する内田誠氏
「日産自動車・内田前社長」を任命した
「社外取締役」に「責任」はないか?

2025年3月24日

 新しい経営体制への移行を発表した日産自動車で、社外取締役に対する批判が高まっている。日産は3月末で社長兼最高経営責任者だった内田誠氏が退任、後任としてチーフプランニングオフィサーのイヴァン・エスピノーサ氏が就く。日産は中国の販売不振やアメリカでの収益悪化で今期の最終損益が800億円の赤字となる見通しで、業績不振が続いている。経営再建に向けて固定費を削減するための生産能力の削減や人員削減計画も遅れている。加えて、生き残りに向けて期待していたホンダ(本田技研工業)との経営統合も破談となった。「経営責任を問う声が社外だけでなく、社内からも出てきた」(内田氏)ことから同社の役員人事の決定権を持つ指名委員会が内田氏の退任を始めとする新しい経営体制を決定、取締役会が承認した。これを公表すると日産の社内外に驚きの声が広がった。業績不振の責任をとって執行役5人の役員のうち、内田氏の他、技術担当の中畔邦雄氏、生産担当の坂本秀行、販売担当の星野朝子氏、経営企画担当の渡部英朗氏の四人が退任する一方で、社外取締役は8人が全員留任する。
 現在の社外取締役にはJX(現・ENEOS)ホールディングス元会長の木村康氏、元レーシングドライバーの井原慶子氏、みずほ信託銀行元副社長の永井基夫氏等、内田氏を日産の社長に選んだ時の社外取締役が残っている。「日産の社外取締役は年間20回弱の取締役会出席で、報酬が2,000万円と高額。こんな美味しいポストを手放す訳がない」(日産の幹部)。執行役に経営不振の全ての責任を負わせて、自らの任命責任を無視する社外取締役に対して、日産の社内外から批判する声が広がっている。

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